↑ 銀座のコマーシャル的な通り
↑ 表紙
ハレルヤ
所属する日本建築写真家協会から写真集『銀座ジャック 再び! ―写真で銀ブラ』が発売されました。
変化の激しい銀座の街並みを一枚の写真(見開き7頁)に記録するために、
プロの建築写真家50名近くが日本全国から一堂に集まり、
銀座中央通りの1丁目から8丁目まで並び、12時の歩行者天国と同時に撮影しました。
刻々と変化する陽光によって建物の表情は大きく変化します。
1丁目から8丁目までを一枚のパノラマ写真にするためには、シャッターを切るタイミングを揃える必要がありました。
Googleのストリートビューのように歪んだ写真であれば簡単です。
しかし、建築写真の撮影を職業とする私たちには
水平、垂直が整った建物のファサード(正面性)を記録することが求められます。
銀座の街並みを一枚の写真に記録した同様のプロジェクトは今から14年前にも行われました。
その時は5丁目のグリーンビルぐらいしか高層建築がありませんでした。
時を経て、現在の銀座にはグリーンビルよりも高い高層建築が建てられました。
一枚のパノラマ写真を見ることにより、銀座の移り変わりがよく分かります。
同時に銀座の路地裏はアニメーション『笑ゥせぇるすまん』の喪黒福造(もぐろ ふくぞう)が登場するような雰囲気を醸し出す場所もあり、どことなく興味が沸き、気がついたらシャッターを切っていました。
私は高校の時から神楽坂と銀座の小料理屋で毎日、毎日働いていました。
単純に賄いが食べられることと大家族のような温かみに居心地の良さを感じたこともあり、
気がついたら高校から大学までの7年間近く働いていました。
銀座店は銀座7丁目にあり、毎日スナックのママさんが同伴で食事をしに来てくれました。
そして、食事が終わると店裏の路地を通り、ママさんのお店に向かうのでした。
路地の途中にはお花屋さんがあり、店員さんが毎日大きな花をつくり、運んでいました。
路地を挟んで大通り側には高級車がずらりと50台ぐらい路上駐車されていました。
こわおもてのおじさんはその50台分の車のキーをジャラジャラと持っていました。
話を聞くと車を管理していると言うのです。
つまり警察が来たら車を少しずつ動かすのがおじさんの仕事でした。
へ〜こんな仕事があるだなと、まだ若い高校の私は驚きました。
週末になると年上の彼女と銀座で終電ギリギリまでよく遊んでいました。
今のように銀座4丁目よりも7丁目、8丁目の方が夜は賑やかでした。
しかし、今回のプロジェクトを通して久し振りに一日中銀座を撮影していると、
銀座の不動産王であり、日本の億万長者であった方が所有する丸源ビルの明かりが消えていることに驚愕しました。
夜は静かになり、まるで廃墟のような光景があの華やかな銀座に見られました。
私にはこの現実がとても衝撃的でした。
そして、昭和、平成の時代が終わり、新たな令和の時代が到来したことを実感しました。
でも希望はあります。
表通りや路地裏を歩きながら撮影をしていると、和服を着た女将さんや下駄を履いた料理人に会います。
そして、路地裏のダクトからは天ぷらのにおい、うなぎの香ばしいにおいを感じることができます。
銀座は生きている。そう確信したのです。
時代は変わっても、変わらず美味しい食事とおもてなしを提供してくれる小料理屋があるんだ。
撮影を通して、私はそう感じました。
シャローム 鈴木元彦
2019.10.07
↑ 日本建築写真家協会会員(集合写真)
↑ 高級繁華街に潜む路地空間
↑ 昭和レトロな雰囲気が残る銀座5丁目
【内容】
日本の大繁華街を象徴する東京・銀座。ここは昼の大通りから夜の路地裏まで、多彩な表情で人々を魅了する。伝統と革新が共存する銀座を複眼的に逍遙する驚嘆の写真集。
【目次】 まえがき 論文:陣内秀信 1: GINZA Panorama 2: GINZA Scene/Alley、Ginza elements、Façade、Seasonal events、Main streets、Tradition、Commercial、Under pass 3: GINZA Kaleidoscope 4: GINZA Graffiti/槇文彦、蓑原敬、中島直人、面出薫、泉麻人、武蔵淳、松﨑宗平、松井龍哉、 田根剛、岡本圭祐 あとがき
販売先:アマゾン
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