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五島列島の潜伏キリシタン(青砂ヶ浦教会、頭ヶ島教会)

更新日:2023年10月29日


五島列島

↑志摩湾を見下ろす高台に位置する煉瓦造の青砂ヶ浦教会

五島列島

↑名棟梁鉄川與助によって設計施行された青砂ヶ浦教会。国指定重要文化財

五島列島

↑国内でも珍しい石造の頭ヶ島教会。周囲の島などで切り出された切石を小舟で運び、信徒がひとつひとつ積み上げて建設した教会

 九州の最先端に位置する五島列島。キリシタン弾圧から逃れてきた人々は、過酷な迫害にも屈せずに強い精神を持ち続けながらも、心身の苦労はもちろんのこと、経済的にもどん底まで落とされていた。「棄教する」と言えばそれらの苦しみから逃れることができたが、その一言を口にしなかった。

 徳川幕府の禁教令から続いてきた250年以上の長い禁教と殉教の時代が1873年に終わり、キリシタンに信仰の自由がもたらされた。彼らは真っ先に自分たちの土地に「信仰の証し」である教会堂を建設した。貧しい生活の中から建設費を捻出し、労働奉仕もいとわなかった。老若男女を問わず、海岸から高台の建設地まで自分の身の丈や力に見合わなかった煉瓦を背負って運び、教会堂を建設した。生活が苦しく藁葺き屋根の小さな家に住んでも、青い空の下、皆がゆったり入れる「祈りの場所」をつくり、大きな声で共にオラショ(ラテン語の祈祷文)を唱え、ミサにあずかることがキリシタンの願いだったのである。

 五島列島には祈りの場に込められた信仰の力がある。それは、今も光に満ちあふれているのである。

(月刊誌『信徒の友』「聖なる光と祈りの空間」2014年07月号より)

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